『君はどこにでも行ける(堀江貴文 著)』を読んで
『君はどこにでも行ける』は、経済の落ち込みからか、将来への不安からか、漠然と不安になっている日本人に、頭の中の国境を消して、取り入れる情報の質を高めようと説いた堀江貴文さんの書籍です。
その手掛かりとして、世界を旅し、その発展や経済も肌で感じてきた堀江さんが、アジアを中心とした現在の各国とその中での日本の現状について記し、日本がこれから目指すべき方向を提示しています。
中国をはじめ、他のアジア諸国に偏見を持ちがちな日本人、そんな頭の中の国境を取り払い、合理的なビジネスや未来を考える手掛かりとなる一冊です。
驚異的な経済発展を遂げるアジア
驚異的な経済発展を遂げるアジア、日本より豊かになっていくアジアの中で、経済における日本の立ち位置はもうアジアの盟主ではありません。
2010年に中国に追い抜かれたGDPは、数年経った現在、半分以下になってしまっているとのことです。
現在の中国では富裕層だけが潤っているのではなく、日本人に負けない裕福な中国人は1億人以上いるとのこと。
他のアジア諸国の経済発展もすごい。
シンガポールは都市の発展と税制優遇で世界各国のお金持ちが集まり、日本の富裕層の移住も増えているとのこと。
大学の質もアジアですば抜けて高く、大きなビジネスの動く環境が整ってるから、シンガポールはますます活性化するだろうとのことです。
また、タイのバンコクは日本の地方都市より収入が高くなっているとのこと。
書籍ではその他のアジア諸国についても、その国特有の事情に触れ、経済発展の目まぐるしさが記されています。
アジア諸国への思い込み
「先行者」「有名キャラクターを模倣しきれてない着ぐるみ」「倒壊するビル」「汚染された空気」「冗談みたいな公報」
これは私の中国に対する一部のイメージですが、
日本人全体としても、中国に対する見方として、どうしてもネガティブなような、ちょっとバカにしたようなイメージを持ってしまいがちです。
そしてその方がウケがいいので、TV番組やニュースもそれに偏りがちです。
他のアジア諸国にも、ちょっと上から目線なところがあると思います。
正直、経済についても、この本を読むまでは、中国が日本より豊かのは都市部にいる一部の富裕層だけで、そのとんでもないお金持ちになった富裕層によって、中国経済全体が引き上げられて、日本を上回ったと考えていました。
「爆買い」も中国の富裕層と、それにつられてちょっと無理をした中間層が来ているのだと。
だから「爆買い」も「インバウンド」もブームみたいなもので、そのうち下火になると考えていました。
インバウンドはこれまで以上に
でもそうじゃない。
中国の経済発展は地方にも拡がり、他のアジア諸国も日本より豊かになるのは時間の問題。
そうなると、日本が経済的には追い抜かれても魅力的な国であり続ける限り、日本にやってくるアジアの人々は増え続けます。
人口増加に期待できない日本の目指す道が、先にその道を歩んだヨーロッパ諸国と同様「観光立国」にあるとする堀江さんの主張にも肯けます。
日本の洗練されたインフラ、製品、サービスをどう活かし、どう発展させて、日本をさらに魅力的な観光都市にするかが、増え続けるアジアマネーを取り込むのに有力な方法であることは間違いありません。
偏見のない質の高い情報を取り入れることの大事さ
書籍では、不動産をファンドなどに売り、運営に特化した星野リゾートについても触れられていました。
日本人には目からウロコな合理的な経営方法ですが、世界的には標準のスタイルとのことです。
「これまで日本で成功してきた道だから方法だから、それに従うのが正しくて、外国の方法に振り回されて、それを変えるのは正しくない」
なんとなく日本にはそういった考えや雰囲気が根付いている気がします。
そういった思い込みを取り払い、良いものを良いものとして認識する力、取り入れる力が大事なことがわかる一例です。
進むべき道を知るために、世界を正しく知り、偏見のない質の高い情報を取り入れることが大事ということを知った一冊です。